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パトリシア・ハイスミス「女嫌いのための小品集」
パトリシア・ハイスミスの「女嫌いのための小品集」を読んだ。
内容はまさにタイトル通りで、テンプレート的な嫌な女の数々をこれほどかと詰め込んだ短編集。
若さと美貌を武器にして各国様々な男達を渡り歩き、しかしその無敵に思えた容姿も歳を重ねるごとに衰えを見せ、最終的なは歯牙にも掛けないような男に縋って何処かに行方をくらます哀れな女。
あるいは子ども好きの女の話。結婚してもうんともすんとも妊娠の気配が訪れず、ようやく二人三人と連続して生まれ、親戚一同や友人たちから祝われ……この短編集にしては珍しいアットホームな話かと思いきや、その後も双子三つ子五つ子と、次から次へとポコポコうんざりほど子供を出産し、一般的な生活水準から育児費用によってスラムすれすれの低所得者用のアパートへ転落する惨めな話。
あるいは、これが最も多くの人間の心に突き刺さるだろうが、芸術に音楽に彫刻にダンスにと次々に趣味を試しては飽きてしまい、それでいて自らの自己顕示欲と満たされない思いを解消するために家庭と家事のことは放ったらかしにして文化的お稽古事に精を出す女。
女たちが芸術もどきに熱を上げる間に夫が何をするかといえば地道なゴミ出しに家の掃除に食事の買い物。
これは読んでいてなかなか皮肉に突き刺さる話だ。
女嫌い、女という性質、女という生涯……そういった側面を物陰からそっと眺めるには相応しい、苦々しいまでのオードブルの盛り合わせの一冊だ。
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