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「アマゾン と物流大戦争」 
角井亮一「アマゾン と物流大戦争」 を読了しました。

ここ最近TVでは電通の事件に始まり、教員たちの過酷な労働環境、物流業界における人手不足と過剰労働、あるいは非正規雇用による少子化やら貧困問題など、とにかく働き方について報じない日はありません。
自分もリーマン・ショック絡みで就職や労働に関して散々苦労した側の人間なので、ここ数年の売り手市場や契約社員等の不安定な雇用の方々が正規雇用として採用されるニュースを聞く度に嬉しくなります。
介護や飲食やらブラック企業やその手の業界に関しても改善される日が来ることを望みます。

さて、そんな前書きはさて置いて、今回の話の中心はAmazonです。
今や世界企業ランキングでも10位以内には存在するグローバル企業のAmazon。
ほんの10年ほど前にはそこまで知名度が高くなかった企業ですが、もはや現在では店頭と価格を比較してスマホからAmazonを使ってその場で「ポチる」のもありふれた光景です。利用者も若者だけではなく、インターネット全般に対して懐疑的だった年配層にまで拡大している模様です。
(少し前には電車内でポケモンGOをプレイしている年配夫婦も見かけたので、車内でゲームを咎める親が大半だった時代から随分と社会は変化しましたね)

そんな訳で、この本のテーマはAmazonはいかにして現在の大規模な販売網を確立したかという点にあります。
著者はその理由を大きく一言で「ロジスティクス」の確立と述べています。

ちなみに「ロジスティクス」とは、聞き慣れない単語ですが、
元々の語源は、軍事装備の調達や補給、人員や物資の輸送などの後方支援活動を意味する「兵站」です。
物流業界では「企業の物流合理化手段」を指すそうです。

要するに、需要を予測して物の流れや在庫を管理し、円滑かつ低コストに輸送するなど最適化を図る事を指します。
そして一度強固に確立すれば、後から追従するのに相当な時間が掛かると言われる手法です。
こう述べられると確かにAmazonの現状と似ていますね。

また、著者はAmazonのロジスティクスを裏付ける理由として、
梱包とピッキングに関するアルゴリズムと、物流を効率化したが故の低コストでの運用の二点で話を進めています。
また出張法事サービスである「お坊さん便」や高級自動車に纏わる販売サービスなどの顧客中心主義の徹底も述べています。
正直に言えば、お坊さん便などのサービスは書籍中で調べて検索するまで目を疑う物でした。しかし中規模以上の田舎ならばともかく、お寺や教会等と縁がない人々にとってはありがたいサービスなのだろうとも思います。
ネット仏壇やロッカーに遺骨を収納する埋葬も時々取り上げられますし、信仰の有無とは違う次元でなるべくして成立した商売なのでしょう。

自分がAmazonを利用し始めたのは比較的最近でしたので、元々は本屋の延長として誕生したという記述にはなるほどという新鮮な驚きがありました。
本屋といえば書籍の販売価格は一律で、薄利多売の筆頭といっても差し支えない業界ですが、何故この分野において勝機を掴んだかという点で2点の説明があります。

まず生鮮食品と比較して、本という商品は長期間の保存に耐えられ、形態も大きな差はなくて保管や管理がしやすい事。
また売れ筋だけではなく、数多く揃うマイナーな商品こそが宝の山に化ける可能性を秘めていた事。
改めて聞けば納得が行く話ですが、よほどの大型書店でもなければマイナー書籍を店頭に並べておく事は困難ですので、幅広いジャンルの本が置けるAmazonが大勝利した理由も頷けますね、

ちなみに本を読んでいて興味深いと思った所を何点か。

○日本のEC(電子商取引)は諸外国と比較して非常に低く、数値にすれば4.75%しかない。
  逆に言えばかなりの伸びしろがあるそうです。

○ネット販売を大きく二つに分けると、テレビショッピングのような単品販売と、カタログ販売のような総合販売。
 単品販売ではアイテム数は10~200に収まるが、総合通販のアイテム数はは1000~1万ほど。

○日本では特売形式の販売が多いが、実はセールは非効率。
  何故ならば流通から工場まで全てが逼迫され、稼働率・入庫確認・保管・梱包・出荷等の作業が滞りやすい。
  そもそも売り上げ予想が付けづらい。

この辺りですね。
Amazonの奥深い所はさておき、物流業界や戦略を読む面ではかなり面白い書籍でした。
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