気ままに興味あることを綴るだけ

生まれたばかりの世界を掴み  3
オットー・ビアノスミス。
社交的でハンサム、そして有名大学院出身のインテリ。語学の才能もあり、故郷に帰れば両親が大金を暖炉の前に並べて待っている。本人の口から漏れた情報を繋ぎ合わせてみれば大体はそんなところだが、抽象的な評価だけが周囲にまとわりついて、肝心の実態については長年一緒に連んでいた相方のミーヤ・ベルギアンにすら分かりかねる部分があった。
炭焼き工の末裔かと尋ねたこともあるが、僕が精一杯の知識を活用して問い質していると察すると、含んだように両頬を吊り上げてにやにやと曖昧に首を振るだけだった。そういう名前のぼかしと同様に、オットーには肝心なところで真意をぼかす悪癖があった。
それが任務外の一時ならば気障ったらしい同僚として、無視をすればいいだけだが、オットーの場合は時には敵も味方も両方がごちゃ混ぜに破壊と暴力に巻き込まれることを楽しんでいる、そんな気配も見え隠れしていた。
例えば食事時に起きた一つのトラブルがある。知り合って間もなくの頃はまだ気にも留めなかったが、今から振り返ってみれば小さな混沌の破片こそがオットーを極めてよく象徴していたと思う。
物語というのは得てしてそんなものだ。一つ一つは些細な断片なのだが繋ぎ合わせてみればいかようにも変貌を遂げる一つの絵となる。いや、逆に全体像があらかじめ存在し、そこから散らばった破片の一つ一つが時たま見え隠れして、異形や畏怖の対象となるのかもしれない。
なんにせよ、その日のエピソードはアンバランスで身の収まりがどうにも悪い。
僕の胸のうちにある違和感を振り返るつもりで、デバイスに打ち込んだ退屈の文字の下にオットーと名前を打ち込み、幾つかの象徴的な単語を連続的に並ばせた。
スポンサーサイト
Copyright © 硝子の青空. all rights reserved.